上川タイム

日本サッカー界を代表する審判であるとともに、厳格なジャッジでも知られる上川徹氏を、暖かい眼(?)で見守るブログ♪

家本政明(SR)の件について

 このブログは「上川タイム」であって、「片山タイム」とか「穴沢タイム」とか・・・、で
はないので、上川徹(SR)以外の話題について触れなければならないということはな
いのだが、サッカーの審判を話題にする上では避けて通れないので、思うところを記
しておく。


 すでに報道されている通り、家本政明(SR)の1ヶ月出場停止に関する件について。

 直接の契機となった試合は、先日のアントラーズ−グランパスで、首尾一貫しない
不可解な判定を連発し、結果として11枚を出し、2人を退場にしたということになっ
ている。

 この件を報道した新聞は、どれも内容は似通っているが、スポーツ報知を引用して
おけば以下のようになる。



今季、家本主審は不可解な判定を連発。特に8月30日の鹿島−名古屋戦ではイエ
ローカードを11枚も乱発し、2人を退場させた。松崎康弘・審判委員長は「メンタリテ
ィーが病んでおり、判定に影響している。自信を失っているようなので1か月間の研
修期間を与える。その間J1、J2、JFLで笛を吹くことはありません」と説明した。
 これまで審判の処分は内々に行われていたが、松崎委員長は「今後、情報を開示
します」と明言。責任の所在を明らかにすることで、審判のレベルアップを図り、さら
にクラブと信頼関係を築くことが狙いだ。



 記事の冒頭に「今季」と書いてあるが、W杯前のエスパルス−レッズや、フロンタ
ーレ監督の関塚隆が退席処分になったトリニータ−フロンターレや、J2のモンテデ
ィオ−ヴェルディでもだいぶ論議を呼んだ記憶がある。

 選手は人生を懸けてプレーしており、観客は相応の金額を払って観戦しているの
だから、審判が質の高いジャッジを見せなければならないのは当然で、仮に一定の
水準をクリアできないのであれば、何らかの措置がとられるのは仕方のないところ
だ。しかも、各試合での審判のジャッジについては、インスペクターが評価をしてい
るので、各試合の評価はわからないが、全体として審判委員会が上記のような判断
をしたのであれば、一定の水準をクリアできなかったということは確かなのだろう。


 家本政明(SR)はまだ若いので、将来的に優れた審判になってもらえるよう、期待
したい。

 「上川タイム」の筆者が、上川徹(SR)の過去を引き合いに出すのはどうかと思うが、
先日のNHK「にんげんドキュメント」でも紹介されていたように、J1主審としてデビュー
した頃の上川徹(SR)のジャッジは、決してほめられたものではなかったが、それを真
摯に受け止め、その後の努力を怠らなかったからこそ、現在の彼があるわけだ。



 こう書くと、「選手は人生をかけてプレーしており、審判のジャッジひとつで人生が変
わることもあるのだから、審判には大きな責任があり、問題のあるジャッジをした審判
は罰せられるようにしなければアンフェアだ」という、ありがちな意見が反論として出て
きそうだ。総論として反対する気はないし、むしろその通りだと思うが、同じことは、逆
の関係にも成立する。審判がどれだけ気を遣って、試合をコントロールしようとしたと
ころで、試合の流れを壊すような言動、行動をするような選手に遭遇する可能性はゼ
ロではなく、その試合の評価により、可能性の芽が摘まれる審判がいる可能性もある。
これは、問題のあるジャッジをする審判を過度に擁護したいわけではなく、審判のみ
に全知全能たれと言わんが如き意見は、逆にフェアではないということを考えなけれ
ばならないのだと思う。


 選手には背後に自チームのサポーターがいて、勝利につながるプレーをしていれ
ば、まあ精神を病むような状況に追い込まれることはないだろうが、審判は、対戦す
る両リームのサポーターから注視される存在で、サッカーが勝敗を競うスポーツで
ある以上、また、サポーターの多くは良心的なサッカーファンだと信じたいが、中に
は、応援するチームが勝てば全てよし、負ければ全て気に入らないというメンタリテ
ィを有するサポーターも残念ながら一定程度含まれると想定されることを踏まえれば、
両チームの全サポーターを十分に満足させるジャッジをすることは、そもそも不可能
に近い。

 こうした特殊な立場であることは、踏まえておかなければならないのでないか。

 家本政明(SR)の「メンタリティーが病んで」いると上記の記事には書かれているが、
彼に限らず、全ての審判は、審判という立場の性質上、常にメンタリティを病む可能
性が内在しているのではないかと思う。

 W杯主審にのぼり詰めた各国の審判の中にはいろいろな人がいて、どんなことが
起こっても自分の信念を曲げそうにないオラシオ・エリソンドとか、どんな状況でも、
陽気に人生を楽しめそうなカルロス・シモンとか(違うかもしれないが)、やはり、一見
して、メンタリティの強そうな人も多かったように思う。精神面の闇に打ち勝った人た
ちなのだろう。

 ただ、精神面の強い人ばかりではない。やはり、周囲が審判の立場というものを理
解しておくことが重要だと思うし、審判の研修ではメンタルケアが最大限に重視され
なければならないのだろう。


 このブログの立場としては、安易に審判の批判をする気はないし、だからといって、
無条件に審判を擁護するのも本意ではない。客観的に判断して、書けることは書き、
あとは、ブログの紹介にもあるように「見守る」しかないのかな、と。



 最後に、プライベートな面もあるので難しいところだが、審判が責任ある立場である
ことを考えれば、情報公開の姿勢は妥当だと思う。






※ 長くなってしまった。夜も遅いので、コメントを頂いた方へのお返事は連休中に書
 くつもりです。 
  1. 2006/09/15(金) 23:27:50|
  2. その他
  3. | トラックバック:2
  4. | コメント:8
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コメント

まったくそのとおり!

 今晩は、久々にお邪魔した上川タイムでしたが、大変興味のある話題に行き当たり、共感を得ております。
確かに審判は報われない仕事ではありますが、家本さんにも吉田さんにもがんばって、上川さんのあとを追いかけていって欲しい物です。

勝てば得点者のおかげ、負ければ審判のせいと言うのが世の常なれど、それでも笛を吹くのはとても面白いことでもあります。審判の皆さんがんばりましょう!!
  1. 2006/09/16(土) 01:10:12 |
  2. URL |
  3. pika #n64RtCaA
  4. [ 編集]

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
  1. 2006/09/16(土) 13:01:13 |
  2. |
  3. #
  4. [ 編集]

こんばんは。
ミハイロビッチ様に感謝です。
私の接することが出来たメディアでは、「メンタリティ」「情報開示」に触れたものが無かったので、報知の引用はありがたかったです。
そして、確かな視点でのコメントにうなずかされます。つい、ありがちな批評に流されがちな私に「ちょっと待てよ」と考える機会を与えてもらっています。ありがとうございます。
  1. 2006/09/16(土) 20:20:28 |
  2. URL |
  3. もりそば #mQop/nM.
  4. [ 編集]

→ pika さん

コメントありがとうございます。

審判がよい精神状態を保つことは、結果的に、安定したジャ
ッジにつながるはずですので、審判の方々が良好な精神状
態を保てるような環境が整備されることを望んでいます。

もちろん、だからといって審判が居直ってよい訳ではなく、サポ
ーターの多くを占める(と期待したい)、善意で客観的な批判
をできるサポーターの意見には耳を傾けなければならないと思
います。

そうすることで、より高い水準のジャッジが実現されていけばいいなと
思います。
  1. 2006/09/17(日) 17:21:37 |
  2. URL |
  3. ミハイロビッチ♂ #-
  4. [ 編集]

→ Oさん

コメントありがとうございます。

岡田さんのエピソードは、審判というものがどういうものか象徴的に
表しているように思います。彼も、今でこそ大ベテランですが、若い頃
は葛藤があったのかもしれませんね。

今回の件は、誰にとっても決してハッピーな出来事ではないわけです
が、わが国のサッカーとサッカー審判をめぐる全ての状況が、将来的
に良い方向に進んでいっくための契機になれば、と思っております。
  1. 2006/09/17(日) 17:34:48 |
  2. URL |
  3. ミハイロビッチ♂ #-
  4. [ 編集]

→ もりそば さん

コメントありがとうございます。

確かにいろいろな批判があり、それらにはある程度妥当なところも
あると思いますので、批判自体を否定することはできないのですが、
やはり望ましいのは、彼が、立ち直って、よいジャッジをできるように
なることだと思います。

今の段階では、今後の展開はわかりませんが、期待をしたいと思い
ます。
  1. 2006/09/17(日) 17:42:39 |
  2. URL |
  3. ミハイロビッチ♂ #-
  4. [ 編集]

はじめまして、takuといーます。
いつもこちらのブログを興味深く読ませていただいてます。
僕のブログで『上川タイム』を紹介させていただきました。
勝手にすみません。
トラックバックもさせていただいたのですが、失敗してしまいました。
重ね重ね本当にすみません。

今回の家本主審の記事、色々と考え直させられたように思います。
自分ではわりとフェアに見ていたつもりですが、全然そんなことなかったですw
いや、笑い事ではないですね。
これからはもっと広い視点で見てみようと思います。
でわ。


  1. 2006/09/18(月) 02:47:51 |
  2. URL |
  3. taku #-
  4. [ 編集]

コメントありがとうございます。

紹介、リンク、トラックバック等について特定のポリシーを打ち出す気はないので、
ご自由にお願いいたします。

今回の件はいろいろな問題を示唆しているような気がします。審判に関する情報
開示の問題もそうですし、メンタルケアの問題も当然含まれます。

とはいえ、各チームのサポーターは審判のジャッジについて気付いたことはどんど
ん発言すべきだと思いますし、選手が厳格な評価にさらされているのと同様、審判
もそうであるべきだと思います。問題は、どのような形でそれをやるかということな
のではないかと思います。

審判は厳しい評価にさらされなければならないが、心身を病むような方法でそれ
がなされてはならない、というのはなかなか難しい問題だと思います。
  1. 2006/09/18(月) 17:33:47 |
  2. URL |
  3. ミハイロビッチ♂ #-
  4. [ 編集]

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家本政明(SR)の件について

 このブログは「上川タイム」であって、「片山タイム」とか「穴沢タイム」とか・・・、ではないので、上川徹(SR)以外の話題について触れなければならないということはないのだが、サッカーの審判を話題にする上では避
  1. 2006/09/18(月) 02:36:08 |
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家元主審について

■こんばんわ。なにげに自炊が続いてるtakuです。米を炊くのは面倒でも、パスタは茹でられるみたい。オレチョーエライ(*゚▽゚ノノ゙☆パチパチ■今日はシエナ対ローマ。仕事から帰ってみると、スカパ
  1. 2006/09/18(月) 02:37:18 |
  2. ロマニスタのてぃーたいむ(改)

プロフィール

 ミハイロビッチ♂

Author: ミハイロビッチ♂

●サッカーとプリンをこよなく愛する

●「ヒデ」といえば中田英寿ではなく橋本英郎

●ガンバの中盤は遠藤でも明神でもなく英郎が支えていると信じる

●だからといってガンバファンではなくグランパスファン

●しかし名古屋市民ではない(エビフライは好き☆)

●馬は逃げ馬に限る(タップダンス♪タップダンス♪)

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